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身近なすごい技術をわかりやすく解説

【第6回】川と電気は似たもの同士

 第5回ではLEDを光らせるために必要な回路設計について解説した。今回はそもそも「電気が流れるってどういうこと?」という視点で電気が流れるイメージを説明していく。

xxxxmhj.hatenablog.com

 

タイトルに書いたように川と電気は似たもの同士で、電気が流れるということは水が流れることにイメージが近いのだ。まず、なぜ水が流れるかについて考えてみよう。

 

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 結論から言えば、水が流れるのは重力があるからだ。川は水のある坂道であり、りんごが木から落ちるように、水も坂を下へ下へと向かっていく。これが川の正体だ。

 

 では、この川が急な坂道だったら水の流れはどうなるだろうか。逆に限りなく水平に近い坂道だったら水の流れはどうなるだろうか。多くの人にイメージしてもらえると思うが、急な坂道であれば水の流れは速くなり、逆では水の流れが遅くなる。

 

 また、川の中が水面から顔を出す程の大きさの岩でいっぱいの場合と、そうでない場合では水の流れはどうなるだろうか。岩でいっぱいの場合では、水の流れは勢いを失い、そうでない場合に比べて水の流れは遅くなるだろう。

 

 ここで、ひとつイメージしてみてほしい。1本の川が途中で2本に分かれている。片方は岩のないなだらかな川で、もう一方は水面から顔を出す程の大きさの岩でいっぱいの川だ。この分かれた後の2本の川ではどちらの方がたくさんの水が流れるだろうか。尚、川の傾斜は同じものとする。

 

 

イメージして頂けただろうか。

 

おそらく、多くの人は岩のないなだらかな川の方がたくさん水が流れると考えたと思う。なぜなら岩がたくさんあっては「水が流れにくい」からだ。「水が流れやすい」方にたくさん流れるという発想はいたって自然だ。

 

この「流れやすい方にたくさん流れる」という当たり前の発想は、電気でも同じことが言える。川でいう「岩」は、電気回路でいう「抵抗」に相当する。「抵抗」というのも名前の通りで、電気の流れを邪魔する存在だ。言い換えれば抵抗が大きい程、電気は流れにくくなる。下図のように抵抗が大きな流れ道と小さな流れ道があったとするとどちらの方が電気はたくさん流れるだろうか。もちろん抵抗が小さい方に電気はたくさん流れる。ここでは小学生でやったであろう豆電球を光らせる実験に準えて図示した。

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川の話に戻るが、山が高ければ高いほど川の傾きは大きくなり、流れは速くなる( たくさん水が流れる)。電気でも同じことが言えて、しかも乾電池といった電源の電圧(山の高さに相当し、高いほど川の傾きは急になるイメージ)と電流(水の流れる量)は比例するという法則がある。

この法則こそがオームの法則である。式で書くと下記のようになる。

電流 = 電圧 / 抵抗

これは電流(水の流れる量)は、電圧(山の高さ)が高い程多くなり、抵抗(岩)が多い程少なくなることを式で表しただけである。例えば岩が多くて抵抗が高いとすると、式の分母は大きくなり、電流は小さくなる。

 

学校のテストでは電流の計算ができることが重要視されるが、電気の流れるイメージを持っていれば「こっちにたくさん電気が流れるはずだ」とわかった上で計算できるので明らかなミスに気付くことができる。

 

今回は抵抗の並列接続を例にとったが直列接続でもイメージしてみてほしい。おそらく新しい疑問が出てくるだろう。直列接続と並列接続さえイメージできてしまえば中学レベルまでの物理電気は高いレベルまで理解できるだろう。

 

今回は身近なすごい技術というよりかは電気の基礎的な内容となった。

次回からはまたブログタイトルのテーマに沿った内容にしていく。

 

 

余談だが、今回「川」を例に挙げるにあたり10分程度流体力学をかじったが、間違ったことを書いていたら指摘してほしい。岩があれば本当に流れは遅くなるのか小一時間悩んでしまった。

 

 

 

わかりやすい電気基礎

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入門アナログ信号処理

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