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【第8回】自作エフェクター製作解説 [19 sixty 3 modify]

第8回では以前友人へプレゼントした自作エフェクターの製作について解説していく。製作したエフェクターの種類はブースターで、「19 sixty 3」の回路をベースに部品定数の変更し、筐体を小型化した。今回は製作工程をあまり写真で残しておらず、詳細な説明はしないが、コメント欄に質問してもらえると嬉しい。

 

今回はプレゼントなので、有って損しないブースターを選択。「19 sixty 3」は回路規模も小さく、電子工作の初心者にもオススメだ。さっそく回路設計に入る。

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回路は単純で、ジャンクションFETを使用したソース帰還ソース接地増幅器だ。

ゲインは近似してドレイン抵抗 / ソース抵抗で計算できる。機能はブースターなので、信号がグランドや電源レベルに達してクリップしない様、ゲインは10倍に設定した。

尚、回路図に記載していないが出力のDCカットコンデンサの手前に、エフェクターのつまみになるボリュームを接続する。増幅器のゲインは10倍なので、ボリュームの設定が1/10のとき入出力の信号レベルは等しくなりバッファーとして機能する。

また、ソース抵抗によりゲート電圧はバイアスされるため入力にDCカットコンデンサは不要となる。

ソース抵抗によってジャンクションFETのバイアス点が変わるため、ソース抵抗値によって音の特徴は変化する。

 

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次は部品の選定だ。

今回必要な部品は下記の通り。

・ジャンクションFET

・抵抗

・半固定抵抗

積層セラミックコンデンサ

電解コンデンサ

・アルミケース

・ボリューム&つまみ

・LED

・スイッチ

・DCジャック

 

 ジャンクションFETはベースの回路と同じJ201を選択。もう廃品種のためここ数年で秋葉原からも消えてきている様だ。2015年年末の時点で、ラジオデパート内でしか見つけることができなかった。

電解コンデンサは容量値が大きくなる程、耐圧が高くなるほど大きくなる。今回は小型化するため電解コンデンサのサイズに制限があった。このエフェクターは9V電源で動作させることを想定しているので、耐圧9V以上でサイズの制限をクリアできるものを選択した。

セラミックコンデンサは種類が豊富で、これもサイズと容量値のトレードオフがある。今回はオレンジ色の積層セラミックコンデンサ、通称オレンジドロップを選択。選んだ理由はサイズをクリアできていたことと見た目が好きだからだ。オレンジドロップはかわいい。とにかくかわいいので私は積層セラコンを選ぶとき、可能な限りオレンジドロップを使う。部品の見た目は電子工作のモチベーションに大きく影響すると思っているので、ぜひ自分好みの部品を探してみて欲しい。コンデンサなら秋葉原千石電商B1Fにいけば好みのコンデンサに出会えるだろう。千石B1Fにはオーディオ用リード抵抗もありこれも色がかわいいので要チェックだ。後で出てくるLEDもカラーバリエーションが多く出ていて好みの色を選ぶことができる。部品の形も各社変わっていてそれぞれ技術的な裏付けがあり、機能美的な視点からそういった違いにも注目してみて欲しい。

 

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話が脱線したが一気に実装過程だ。

小型化するため筐体は通常の19 sixty 3よりもひと回り小さいサイズに実装していく。

ジャックは接触ギリギリを狙ったため穴あけには注意が必要だ。スイッチはもっと下に配置できるが、スイッチを踏んだときに上部が浮き上がり踏みにくくなる可能性があったので中央寄りに配置している。LEDは基板の下に配置しており写真では見えないがホットボンドで固定している。エフェクターの電源はセンターコールドなので配線が逆にならないよう注意だ。

 

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そして完成したのがこちら。完成品の写真すら撮っていなかったのでプレゼントした相手に撮ってもらった。塗装の工程は割愛。ベースを弾くテニスプレイヤーへのプレゼントだったのでそれっぽくデザインし、LEDは緑色。

 

製作時間は塗装抜きで2日程度で土日を使えば作れてしまう。慣れればもっと早く作れるだろう。部品代はざっくり5000円未満。これからエフェクターを作ってみたいという人にもオススメだ。

 

 

 

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アナログCMOS集積回路の設計 基礎編

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