【第7回】2枚の板で音をキャッチする技術
上でも述べたがコンデンサマイクはコンデンサそのものである。コンデンサは電気を貯めることができるわけだが、そのタンクの大きさを容量(記号:C)と言う。
式では、
C = ε × S / d
となり、間隔dが小さいほど容量Cは大きくなり、間隔dが大きいほど容量Cは小さくなる。尚、εは板の間にある物質(今回は空気)誘電率、Sは板の面積であり両方とも値は一定である。つまり、コンデンサマイクは間隔dが変化することで、コンデンサの容量を変化させていることになる。
では、なぜコンデンサの容量Cを変化させると電気に変換したことになるのだろうか?
それを説明する為にはコンデンサの式 Q = C × V が必要となる。
Qは電荷を意味するが、簡単に電気の元となる粒だとイメージしてもらえれば良い(図中には「+」、 「-」で描いた)。Cはコンデンサの容量で、Vは電圧である。
式を変形すると、
V = Q / C
となる。電荷Qは理想的にはどこにも漏れず一定であると仮定する。すると式から容量Cが変化すると電圧Vも変化することがわかる。
電圧の変化こそが電気信号そのものであり、めでたく音を電気に変換することができた!
ここからは余談だが、一般にマイクとは手で持って使うタイプをイメージする方が多いと思う。しかし、あの大きさではスマートフォンには到底入らない。実はスマートフォンに入っているマイクもコンデンサマイクなのだが、微細加工を得意とする半導体技術を駆使したMEMSマイクロフォンによって小型化を実現している。
MEMSとは、Micro Electro Mechanical Systems(微小電気機械システム)の略で、簡単に言うとすごく小さな電気仕掛けの機械を作り込んで電子部品として使う技術だ。MEMSマイクロフォンの場合は振動板と固定板、板を支える筐体等諸々を作り込む。大きさは1.5mm角よりも小さいイメージだ。
興味を持たれた方はぜひ調べてみてほしい。