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【Memo】1秒の正体

今年も7月1日午前9時に閏秒として1秒追加される。

実は、毎日わずかな時間ではあるが地球の一回転と時計の1日にはズレが生じている。

閏秒はズレを数年に1度修正するものなのだが、この「1秒」とはなにものなのか考えたことはあるだろうか?

 

■1秒の定義

上の文を読んで違和感を感じた人は鋭い。

本来1秒とは、地球の一回転が24時間ぴったりであり、つまり24時間×60分×60秒=86,400秒で地球が一回転するように逆算されるものであるはずなのだ。

しかし、実際には閏秒で時計を調整する必要があり、現在の1秒は地球の一回転から計算した物ではなく、「原子時計」というものが1秒の定義となっている。

 

原子時計と1秒の正体

原子時計は名前の通り、原子の物理的な特性を利用して正確な時間を計るものだ。

具体的にはセシウムという原子が世界の1秒を決定している。

このセシウムはある周波数をぶつけると共鳴するという物理的特性があり、この周波数はセシウムを使う限りいつでもどこでも必ず同じであることから、正確に1秒を計ることができるのだ。

 

ここで周波数とは何かというところに立ち戻ってみよう。

周波数の単位は[Hz](ヘルツ)なのだが、[Hz]を書き換えて[振動した回数/1秒]としたならば多少イメージしやすくなる。

例えば10Hzの信号があったとすると、それは1秒間に10回振動している信号ということになり、逆に10Hzの信号が10回振動したときが1秒というわけだ。

つまり周波数がわかってさえいれば、あとは振動した回数を数えることで1秒を計ることができ、正確に1秒を知るためには正確に周波数を知る必要があるということになる。

 

原子時計の話に戻ると、セシウムが共鳴する周波数は物理的にわかっており、少しでも周波数がずれると共鳴は起こらない。

このことから正確な周波数の信号を作ることができ、あとは振動の回数を数えるだけである。

具体的に共鳴する周波数というのは9,192,631,770[Hz]で、桁が多く見えるが技術的にはレーダー等で実際に使われてる周波数帯であり、怖じ気づくことはない。

 

結局、1秒の正体は「セシウムが共鳴する周波数の信号振動を9,192,631,770回数えたときの時間」であり、正確な1秒のためにたくさんの技術が使われている。

 

今回はここまでとするが、原子時計が正確に時間を計れているか監視している時計というものもあり、「1秒」ひとつをとっても奥が深い。

1秒の正体に興味を持ったなら、一度ご自身で調べてみることをおすすめする。